中越地震復興20年祈念のドキュメンタリー映画。「花火」の持つスピリチュアリティを打ち出した一作

 新潟県の夏の風物詩である「長岡花火大会」にまつわる一作。この大会、私も名前だけは存じていたが、「こういう背景があったとは」「こういう願いが込められていたとは」等、初めて知る事項もいっぱいあり、あえて全国公開の映画にした理由も理解できた。

 幕末の北越戊辰戦争(日本史上最大規模の内戦との声もある)で焼け野原となり、昭和20年8月1日の長岡空襲でアメリカ軍に攻撃されて再び焼け野原となり、犠牲になるのはいつも庶民で、それでもゼロから立ち上がって、2004年には中越地態で甚大な被害をこうむりながらも、それでも立ち上がることをやめない人々。そのメタファーこそが花火の輝きであり、この大会なのだろう。まさに「いのちをかけて」花火、および大会に取り組む姿勢のりりしさが、この映画に充満する。

 もちろん花火大会のライヴ場面(というのも変な言い方かもしれないが)もたっぷりだ。花火師入魂の作品の数々が、長岡市の夜空に、彩り豊かに打ち上げられてゆく、そのさまを、見事な音響とカメラ・ワーク(20台以上で撮影されたという)で楽しめるのは実にうれしい。どしりと響く低音は、劇場のスピーカーを思いっきり振るわせてくれることだろう。監督:坂上明和、ナレーション:佐藤栞里(新潟県生まれ)。

映画『長岡大花火 打ち上げ、開始でございます』

6月28日より公開中

製作:長岡花火ドキュメンタリー映画製作プロジェクト
撮影協力:一般財団法人長岡花火財団 長岡煙火協会 NPO法人ネットワーク・フェニックス 株式会社 if 道の駅ながおか花火館
監督/制作:坂上明和(株式会社夢プロジェクト)
配給/宣伝:NAKACHIKA PICTURES
後援:新潟県 長岡市 長岡商工会議所 新潟県教育委員会 一般社団法人 長岡青年会議所 公益社団法人 新潟県観光協会 一般社団法人 長岡観光コンベンション協会 NPO法人 ネットワーク・フェニックス 新潟日報社 読売新聞新潟支局 朝日新聞新潟総局 BSN新潟放送 NST新潟総合テレビ TeNYテレビ新潟 UX新潟テレビ21 FM新潟77.5 FMながおか80.7 NCT
2024 │ 日本 │ 100分 │ ステレオ │ 16:9
(C)2024 長岡花火ドキュメンタリー映画製作プロジェクト

公式サイト
https://nagaoka-hanabi-movie.jp/