CHANELのタイアンバサダーに任命された気鋭・ジラポーンシンの演じ分けも圧巻の、まさに「忘れられない夏」

 邦題――『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』――がすべてを語っている。一卵双生児のユーとミーが過ごした、ひと夏の物語。ふたりは外見がとても似ていて、しかもとても仲がいい。当然ながら好みも似ていて、食べ物や服など、いろんなものを分け合ってきた。が、ここに、「シェアできない」出来事が生まれる。同じ青年に好意を持ってしまったのだ。

 私は一人っ子なので、双生児はおろか、兄弟を持つひとの気持ちもどこまでわかっているかわからない。が、上記のエピソード、「双生児あるある」のひとつなのではないかと勝手に思っている。その、同じ青年に寄せる気持ちや行動が、決して生々しく描かれていないのも本作の特徴で、その「淡さ」に爽快感を覚えた。監督を手掛けるワンウェーウ & ウェーウワン・ホンウィワットのコンビは、一卵性双生児であり、自分たちを参考にストーリーをつくりあげたところもあるに違いない。

 それにしてもこの映画に登場する「双生児」は、驚くほどに似ている。でも声の出し方とかふとした動きには違いがあって、それがまた「リアル双生児感」を出しているなあと思って観ていたのだが、調べてみてびっくり。なんとこれはティティヤー・ジラポーンシンという気鋭俳優が、ふたりを演じ分けていたのだった(つまり一人二役)。どうやって撮影したのだろう? と不思議になるほどの2ショット場面もあるのに……。さらに私は、彼女がこの映画の時は演技経験がほぼゼロだったというエピソードを知って、驚いた。その後、ティティヤーはタイ映画監督協会賞で最優秀新人女優賞を受賞、さらに今年、19歳の若さでCHANELのタイアンバサダーにも任命されたという。

 なお、好意を寄せられる青年・マークには、ベルギー人の父とタイ人の母を持つアントニー・ブィサレーが扮している。

映画『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』

2024年6月28日(金)より、新宿ピカデリー 池袋ヒューマックスシネマズ / 横浜シネマ・ジャック&ベティ/ 大阪ステーションシティシネマ / なんばパークスシネマ / ミッドランドスクエアシネマ 他にて全国公開

配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
後援:タイ国政府観光庁
| 2023年 | タイ映画 | タイ語 | 122分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray ]
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