「死ぬんはいつでもできるけぇ、生きちょっても ええよね」。あきらめないことの輝きを伝える一作。「幽霊はわがままな夢を見る」

 タイトルが興味深い。どんな内容か想像できないあやしさがあるのに、語感がキャッチーだから、見たくなってくる。

 加藤雅也が、下関市出身のグ スーヨン監督と、やはり同市出身の深町友里恵に「下関発のオリジナルムービーを撮ろう」と呼びかけたことで、この作品ができたという。また脚本にはグ監督の実弟、具光然が参加している。ストーリーの中心となるのが、女優の夢破れて東京から戻ってきた女性・富澤ユリ(深町)。妙なプライド、劣等感が、なんともいえないダークネスを放っているのだが、生活はしなければいけないので、父が経営する、いまにも閉鎖寸前のラジオ局を手伝うことになる。スポンサーから、閉鎖をまぬがれる最後のチャンスとして命令されたのが「ラジオドラマ」の制作。味わい深いひとたちがオーディションによって徐々に集まってきて、なんとかこの「ラジオドラマ」を成功させようと奮闘する。しかもその番組の題材は、下関と縁の深い「耳なし芳一」である。

 物語が進むにつれて、ユリの表情や言動が、どんどん活気に満ちていくところが実にいい。「熱い心を持っていて、熱い仲間がいれば、青春は年齢に関係ないのだ」と語りかけられているような気がした。出演はほか大後寿々花、西尾聖玄、山崎静代、佐野史郎など。

映画『幽霊はわがままな夢を見る』

6月29日(土)より 東京・渋谷ユーロスペース ほかにて公開

<キャスト>
深町友里恵 加藤雅也 大後寿々花 西尾聖玄 山崎静代(南海キャンディーズ) 佐野史郎

<スタッフ>
監督:グ スーヨン 脚本:グ スーヨン 具光然 製作:佐藤紳司 プロデューサー:栃木光信 協力プロデューサー:加藤雅也/冨永洋一/小池勇三/沖潮英伸/申徹也 宣伝プロデューサー:鴻池和彦 音楽:lyon+Taichiro メインテーマ「selfish」 エンディング曲:『夜の彼方』BLACKNARZARENE(BABYTRACKS) 製作:株式会社トミーズ芸能社 株式会社テンプリント 制作プロダクション:株式会社ジーン 配給・宣伝:cinepos 協力:下関市/下関フィルムコミッション/株式会社コミュニティエフエム下関/株式会社ユニコン 宣伝協力:ムービー・アクト・プロジェクト 配給協力:ミカタ・エンタテインメント
2023/日本/カラー/ステレオ/16:9レターボックス/87分
(C)株式会社トミーズ芸能社

公式サイト
https://www.yureiwagamama.com/